陰翳礼讃 いんえいらいさん 展 アンティークな気分 (web版)

春と秋の益子陶器市に併せて、私達のギャラリーでも、企画展示を行ってきました。

今回が7回目となる展覧会を2020年春の益子陶器市に合わせて開催予定でした。しかし、新型コロナの影響で、益子の陶器市も中止となり、私達のギャラリーも開ける事は出来ないという判断になりました。

せっかく今回の企画に参加いただく作家さん達からも前向きに準備していただいていたので、いつかギャラリーがオープンできる時がきたら、この企画展示は、必ずやる予定でいます。

また、既に納品していただいた作家さんや、こんな時だからこそ何か違う形で参加したいという作家さんからのお声がけもいただき、ギャラリーはオープンしないのですが、展示してみて、それをウェブ上でみていただくという、初めてのネット展覧会を行うことに決めました。また、同時にネットショップの方も作り、気に入ったものは購入して頂けます。

おうち時間が長いこの頃ですが、こんな時だからこそ、本当の意味で、私達が目指してきた、各々の、こだわりの好きなものに囲まれる暮らしに寄り添える素晴らしいものをご覧いただき、少しでも楽しい時間を送って頂けることを願っています。

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https://www.instagram.com/atoa_design/

※Instagramでも展示風景や各作品の詳細の写真をご覧いただけます。

何かご不明な点があれば直接ダイレクトメッセージでお問い合わせください。

 

出品作家#2  陶芸家 角谷啓男 Fumio Kadoya ギャラリー

【CROW】のシリーズは烏という存在が両義的な意味を持つものとして、制作をスタートしました。

カラスは文化圏によっては死や不吉を招く象徴ともされる生き物です。一方『古事記』、『日本書紀』で登場する八咫烏としての烏は神からの使いとしての存在でもあります。

両義的な存在は時に人々を迷わせます。けれど同時に私たちはある物事が引き起こす両義的な意味合いに目を向けないわけにはいけません。

 

 今現在進行形で起きているウィルス事象は多くの人々を死に追いやり、苦しませ、恐怖の檻に閉じ込める、とても禍々しいものです。一方その影響でガンジス川は透明になり、イルカが泳ぎ回り、沢山のフラミンゴが訪れ、温室効果ガスは激減していると言われています。

人間の立ち位置から見るか、動物から見るかで一つの事象の中に複数の出来事が散見されます。

 

 焼き物は資源を沢山消費します。高火度で焼成するという事は、同時に薪や電気などの莫大な熱エネルギーを必要とします。産地によっては粘土が枯渇しています。

それと同時に、作り手にとってクリエイティブな営みで手から喜びが溢れ、そして人の心をささやかに動かすかもしれません。同時に様々な事が起きています。

 

 今回のテーマである【陰翳礼讃】の陰翳の意には趣き深い、味わい深い意があります。

細部の造形を極力廃す事で想像的造形の余地が残ればよいと考えています。

 

 

 

 

角谷啓男略歴

 

1980年 北海道生まれ

2007年 東京芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶芸修了

 

主な展示歴

2010 個展「Multiple」(ギャラリー「間」 千葉、成田)

2012 グループ展「月火水木金土日 -想いをつなぐ-」(東京都美術館 東京、上野)

2013 個展「VESITABLE」(Restaurant I 東京、原宿 )

2014 個展「Mutation」(t.gallery 東京、三田 )

2015 個展「Landscape」 (SAVOIR VIVRE 東京、六本木)

2016   グループ展「tlme crossing 陶造形11人展」  (壺中居 東京、日本橋)

2017   グループ展「tlme crossing 」(壺中居 東京、日本橋)

2018   グループ展「tlme crossing」(壺中居 東京、日本橋)

2019 グループ展「tlme crossing」(壺中居 東京、日本橋)、「3人展」(ギャラリー壹零參堂 鎌倉、東京)

 

主な受賞歴など

 

2007年 サロン・ド・プランタン賞

 

 

 

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出品作家#1 陶芸家 石岡信之 Nobuyuki Ishioka ギャラリー

石岡さんスペシャルインタビュー動画

 

石岡さんとは、同じ益子町での活動ということもあり、こんな時期ではありますが、なんとかインタビュー動画を撮影することができました。こちらも展覧会とあわせてお楽しみください。

出品作家#3  環境芸術家 藤原郁三 Ikuzo Fujiwara ギャラリー

新型コロナ感染拡大の終息を願って。。。

祈りを込めて、藤原郁三さん制作の邪鬼も、特別に展示していただきました。

牛鬼 ぎゅうき

牛鬼について
仏教の聖地である、祇園精舎を守護するのは「牛頭(ゴズ)」「馬頭(メズ)」という、牛や馬の形相をした鬼神であったという。
これが後に、地獄の羅殺として地獄に落ちた人間を責めさいなめる。人は、牛や馬を使え、おまけに食用にまでしてきたので、死後、その報いを受けることになる。まさに仏教の因果応報である。この復讐の鬼と化した「牛頭」の恐しいイメージが鬼の原像となって、邪鬼の形に影響を与えたのである。
一方、「牛頭」は、疫病から釈迦達を守る存在でもあり、そのことがやがて牛頭大王として独自に信仰されていった。
仏教が西域から中国をへて朝鮮へ。朝鮮では疫病退散の神として、特に崇められた。
それが日本に伝わり、やがて京都の八坂神社の御神体となった。
応仁の乱の後、京都で疫病が蔓延した時、その退散を願い、始めたのが祗園祭であり、牛頭大王の出自から祗園の名がついた。
かつて、邪鬼の取材旅行の時、滋賀県の古さつである石馬寺で、いかにも牛が寝そべっているようなポーズの邪鬼に出会った。そこから牛鬼と名付けた。
藤原郁三

 

※ご購入も可能です。詳細についてご興味ある方は、直接atoa designまで、お問い合わせください。

メール;aifujiwara912@gmail.com

誕生鬼 たんじょうき

誕生鬼について

仏は生まれてすぐ、7歩あるき天と地を指差し「天上天下唯我独尊」と言いました。
これは、自分が世界一というのではなく、この世のあらゆるものは他に比べようがなく、全て尊いという意味。ナンバーワンでなくオンリーワンなのです。
ならば、人の裏返しである鬼だって同じく尊きものとして考えても良いのでは、という発想から誕生鬼は生まれました。
人間に害をもたらす鬼を排除し、人を守る鬼神の誕生を願って制作しました。
鬼は人にとって怖い存在であると同時に、ひとたび見方につければ、強力な守護神になります。
誕生鬼に見守られながら、自身のオンリーワンを目指してください。
藤原郁三
※ネットショップで販売中です

会期;2020.4.29(水)-5.31(日)

 

場所;atoa select陰翳礼讃展 ウェブサイト

    

企画;atoa design  

 

参加作家;石岡信之

     角谷啓男

     「萬」吉田商店

     藤原郁三 

     atoa design

『陰翳礼讃』(いんえいらいさん)とは、谷崎潤一郎の随筆。まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じたもの。

西洋の文化では可能な限り部屋の隅々まで明るくし、陰翳を消す事に執着したが、いにしえの日本ではむしろ陰翳を認め、それを利用することで陰翳の中でこそ映える芸術を作り上げたのであり、それこそが日本古来の美意識・美学の特徴だと主張する。こうした主張のもと、建築、照明、紙、食器、食べ物、化粧、能や歌舞伎の衣装の色彩など、多岐にわたって陰翳の考察がなされている。この随筆は、日本的なデザインを考える上で注目され、国内だけでなく、戦後翻訳されて以降、海外の知識人や映画人にも影響を与えている(wikipediaより)

この随筆からヒントを得て、特にこの展示においての、テーマの捉え方としては、例えば、陶芸における型仕事は、型と型から出た現物とは、光と影、表と裏としての相対する2つの関係性を持ち、そのことをイメージします。古道具などにおいては、本来あった役割と、古道具として再度価値を見出すときの二面性。また、焼物の釉薬、金箔、漆、、、そういった日本文化を担う素材達が持つ、陰影の中の色の種類。それらを感じる作品達をセレクトし、展示します。

蛍光灯(今はLEDですが)文化の中で日本の一般住宅も明るい空間をよしとしてきましたが、そうではなく、薄暗いながらも美しい光りが届くこのギャラリー空間に、この随筆のイメージを含む美しいモノ達を含む、空間全体を礼賛できるものにしたいと考え、展示空間全体を作っています。

益子の街から少し離れた、ひっそりとしたネット上の、隠れ家的ギャラリーで、こんな時期だからこそ、ゆっくりと豊かな時間をお過ごしください。