「日向ぼっこ」を楽しめる家

増改築の設計に携わらせていただきました。

私としては何年振りかの建築のお仕事で、貴重な経験となりました
ブランク期間も長く、そもそも未熟なため、至らない点も多い私でしたが、お施主様の寛大な理解や、腕も人的魅力もいっぱいの大工さんと、素晴らしい職人さん達に助けられ、とても良い空間ができたと自負しております。やはり建築は1人だけでなく、さまざまな方の素晴らしい仕事の積み重ねでできるんだという感動を、ひさしぶりに体験できました。
やっぱり建築が大好きだ!
ということで、微力ながらも、豊かな住空間を作っていくことに今後とも尽力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

藤原愛


母の姉が同居することになり、夫婦2人暮らしから、3人暮らしになるため、姉の部屋を増やす必要があり、築40年ほどになる住宅なので、配管の劣化も心配で、この機会に水回りも一通り直しました。かつ姉は90歳で車いすの必要があるため、バリアフリーを考えた増改築となりました。増築面積も、建築申請の必要のない、10㎡以下に収めつつ、快適に安全にそして、豊かな空間となるように配慮しました。

全体として機能的かつ、日々の暮らしを心豊かに感じていただけるよう、内装材を自然素材にこだわりました。リビング窓から見える里山の風景を積極的に取り込み、寒さの厳しい北関東でもぽかぽかとあたたかい、日向ぼっこを楽しめる、日当たりの良い空間を設計しました。

                                                     

BEFORE

 

解体中の写真 

天井をとってもらい、既存の梁が見えている状況です。

もとは、ここがリビングと縁側でした。

AFTER

 

同じ場所を見た写真。

キッチン&ダイニングリビングスペースになりました。

こだわりポイントのご紹介①~③

 こだわりポイント②:

もともと天井が平らになっていた天井板をとり、屋根裏に隠れていた梁を見せ、増築面積が小さいながらも、平面だけでなく、立体的に広げることで空間を広々と見せるようにしました。本来の梁も小ぶりながらしっかりとした材のため、大工さんにきれいに磨いてもらい、日の目を浴びました。また、ぐるっと視点の高さを窓にすることで、田舎の美しい里山風景につながり、空間の奥行きを出せるように増築部分を考えました。

DATA

家族構成/夫70代、妻70代、姉90代

増改築面積/約60㎡(増築面積約9㎡、改築面積約51㎡)

設計/ 藤原愛(atoa design architect)

施工/(大工)黒子養之、齋藤次郎丸、村田はるか、大部仁、宿谷想

山口設備、菊池左官、ファミック電気、小島石材、薄羽材木店、薄根建具店、藤原陶房 他

施工風景写真ギャラリー

増築するにあたり、庭の木を切る必要があり、(落ち葉が落ちて屋根を痛めていた経緯など含め、泣く泣く伐採を決めました)とても大きなクヌギの木を5本ほど切りました。そのために、大きなクレーンで、すごい切れ味に丁寧に手入れされたチェーンソーでダイナミックに切っていただき、ずっと見ていたいほどのすごいパフォーマンスで伐採を行っていただきました。

また、増築部分の基礎は、既存とのつながりもあるため、既存は経年変化による傾きなどがあり、水平ではなかったりしたのですが、新しい増築部の基礎は水平を頼りに作る必要があるため、その調整が難しく職人さんの熟練の判断により、いい具合に基礎も打っていただきました。

大工さんには角の既存の柱を抜いて大きな梁で、新たな増築部の空間を作りたいという、私の無茶な要求にもこたえていただき、熟練の腕と判断力により、施主も満足の広々としたリビングが実現しました。細部の造作家具に至るまで、きめ細かく早く、正確な仕事。大工チームは親方をはじめ、一人ひとり素晴らしい腕と人柄でとても良い現場にしていただき、感謝しかないです。

そして、仕上げは主にタイル、大谷石、しっくい、珪藻土、壁紙。それぞれまた素晴らしい職人さんたちの仕事が光りました。

タイルは施主の工房に担っていただき、意匠性に優れたタイルや陶壁を作る専門工房のため、オリジナルの形や納めを得意としているため、外壁のどうしようもない部分などにタイルを多用したりと、臨機応変さと美しさという点で素晴らしい仕事をしていただきました。漆喰などの塗り壁はこの道50年の左官職人さんにやっていただき、やはりその速さと美しさに感動しました。壁紙も個性豊かな職人さんでとても楽しい現場でした。

建具屋さんもとても理解力のある方で、意匠的なことも含め相談に乗っていただき、結果大満足の建具を入れていただきました。

設備や電気やさんも縁の下の力持ちといいますか、改装ということもあり、見えないところで苦労の多い大変な現場でしたが、がんばっていただきました。

建築はそれぞれのプロの集合体で出来上がるものです。今回の現場にかかわっていただいた皆さんに、心より感謝申し上げます。

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